2026年6月1日
【SNS運用で陥る5つの罠】- part2 - 売り込みすぎると・・・

みなさん、こんにちは。
広告業界出身の土木偏愛者、おがしんです。
いつも採用支援コラムを読んでくださり、本当にありがとうございます
前回のコラムからスタートした、採用SNSがうまくいかない5つの失敗ケースを深掘りする連載シリーズ。
第1回目の外静丸投げ編には、たくさんの反響をいただきました。
ありがとうございます。
さて、今回はそれに続く第2回目です。
テーマは、求人情報などの売り込みネタばかりになってしまうケースについて、じっくりとお話ししていきたいと思います。
実は、一生懸命自分たちの手でSNSを更新している会社さんでも、気づかないうちにこの罠にすっぽりとはまってしまっていることが本当によくあるんです。
良かれと思って発信している内容が、なぜか求職者を遠ざけてしまう。
その理由と、これからの発信のヒントを一緒に紐解いていきましょう。
なぜ、あなたのSNSはチラシになってしまうのか
SNSを始めたばかりの経営者さんや採用担当者の方とお話ししていると、みなさん一様に、一刻も早くいい人材を採用したい、という切実な想いを持たれています
しかし、その早く採用したいという焦りが強くなればなるほど、SNSの投稿内容がある一つの方向に偏っていってしまいます。
施工管理スタッフ大募集、未経験者歓迎、月給〇〇万円以上、年間休日〇〇日、福利厚生充実
このような、求人票に書かれているような募集要項や会社の条件ばかりを、毎日のように写真付きで投稿してしまうのです。
ここで少し、受け手である求職者の視点に立って想像してみてほしいのです。
もし、あなたが楽しみにしているスマートフォンの画面を開いたとき、ある特定のアカウントから、毎日毎日、うちの会社に来てください、こんなに待遇が良いですよ、という売り込みのメッセージばかりが流れてきたら、どう感じるでしょうか。
きっと、最初はへえ、そうなんだ、と思っても、3日も経てば、なんだか毎日ポストに求人のチラシを強引に放り込まれているような、そんな押し付けがましい気持ちになってしまうはずです。そして静かに、そのアカウントのフォローを外したり、画面をスクロールして見飛ばしたりするようになってしまいます。
せっかく素晴らしい仕事をしているのに、SNSの発信が単なる求人チラシになってしまうのは、本当にもったいないことだと思いませんか?
飲食店の集客と採用SNSの共通点
ここで、僕がいつもお話ししている、飲食店の集客という例え話をご紹介させてください
みなさんが、今日はおいしいものを食べに行こう、と思って新しいお店を探すとき、どんなお店を選びますか?
もし、あるラーメン屋さんのSNSを開いたとき、毎日、ラーメン一杯800円、トッピングあります、年中無休、とだけ書かれた文字とラーメンの写真が機械的に投稿されていたら、どうでしょう。
味はそこそこ美味しそうかもしれませんが、お店のこだわりや、店主がどんな人なのかが全く見えてきませんよね
外から店内の様子が見えなくて、ちょっと入るのを躊躇してしまうかもしれません
一方で、もう一つのラーメン屋さんのアカウントでは、店主が、今日仕込んだ極上のスープのこだわりを熱く語っていたり、若いスタッフが元気に仕込みをしている風景が動画で流れてきたり、常連さんが笑顔でラーメンをすすっている日常が切り取られていたら、どうでしょうか?
採用広報も、これと同じ構造なんです
条件面という数字やスペックだけをいくら並べられても、人はそこに魅力を感じて決断するわけではありません
求職者が本当に知りたいのは、その条件の裏側にあるもの。
つまり、どんな人が働いていて、現場はどんな空気感なのか、自分はその輪の中に入って楽しく成長できそうか、という会社の温度感なのです
SNSは、その温度感を伝えるためにこそ存在するツールなんです
広告ではなく、関係性を築くための広報を
多くの会社が採用SNSで失敗してしまう最大の原因は、SNSを求人広告と同じような感覚で使ってしまっていることにあります
これこそが、以前お話しした広報と広告の違いを理解せずに、混同してしまっているからこそ起きるケースです
広告というのは、お金を払って枠を買い、瞬間的に多くの人にうちの会社はここですよ、とアピールする一過性の飛び道具です
だからこそ、そこには条件やメリットといった売り込みの言葉が並びます。
しかし、SNSを使った情報発信は、広告ではなく広報活動です
広報の本来の目的は、未来の社員となる学生さんや求職者、そして地域の方々というステークホルダーと、時間をかけてコツコツと良好な関係性を築いていくこと。
つまり簡単に言うと、仲良くなることです
見ず知らずの人から、いきなり、うちの会社は給料が良いから働きに来てよ、と言われても、怖くて誰も行きませんよね
まずはSNSを通じて、自分たちがどんな想いで、どんな価値を地域に提供しているのかを日々の日常を通して伝え、ファンになってもらう
その安心感と信頼の土台があって初めて、この人たちと一緒に働いてみたい、という感情が芽生えるのです
私がお手伝いした企業さんで、実際に求人広告を出すのをやめて、採用専用のInstagram、社長ブログなどで現場の日常をありのままに発信し続けたところ、応募数が前の年の3倍になったという地方の建設会社さんもあります
もちろん発信以外にも社内の環境や待遇面などの改善も同時にやっていきました。(給与が倍になったというような話ではありませんが)
ただ、売り込みをやめて、自社のリアルな魅力や空気を届けた成果です。
黄金比率は、日常8割、PR2割
では、具体的に明日からどのような内容を投稿していけばいいのでしょうか。
僕がおすすめしているのは、日常のリアルが8割、求人などのPR情報が2割、というバランスです。
これは、投稿量の割合という側面もありますし、ひとつの投稿の中の要素を8:2にするというやり方もあります。
これくらいのバランスが、見ている人にとっても一番心地よく、自社のファンになってもらいやすい形だと思っています。
求職者が探しているのは、完璧に整えられた条件ではなく、未来の自分がイキイキと働いている姿です
あなたの会社には、数字には表れない、語るべき素晴らしい日常の価値が山ほど眠っています
それを、会社の引き出しの中に眠らせたままにするのは非常にもったいないと感じています。
まずは明日、現場の何気ない笑顔を一枚、撮影することから始めてみませんか?
皆さんの等身大な発信が、未来の素敵な仲間との出会いを手繰り寄せる最高の招待状になります
それでは本日も、ご安全&ご機嫌に参りましょう♪
記事を書いた人

株式会社ドボクのミカタ 代表取締役 小川慎太郎
防災士/公益社団法人土木学会Web情報誌fromDOBOKU副編集長/一般社団法人行政エンジニア支援機構賛助会員
広告業界にて25年間、マーケティングや販売促進の企画業務に従事。とある土木イベントにアドバイザーとして参画したことがきっかけで、熱烈な土木ファンになる。
土木業界に「広報」という言葉が浸透していない時代から「広報の重要性」を説き続けてきた、土木広報のパイオニア。
近年は、企業、団体向けの併走型コンサルティングサービスを中心に活動している。
公益社団法人土木学会・土木広報大賞2025最優秀賞を受賞
