採用支援コラム

2026年6月8日

【SNS運用で陥る5つの罠】- part3 - 短期的な成果を求めすぎ

みなさん、こんにちは。
広告業界出身の土木偏愛者、おがしんです。
いつも採用支援コラムを読んでくださり、本当にありがとうございます。

採用目的のSNS運用で陥りがちな失敗ケースを深掘りする連載シリーズ、第3回目を迎えました
第1回の外注丸投げ編、第2回の売り込みネタばかり編はいかがだったでしょうか?

さて、今回深掘りするテーマは、ケース3:短期的な成果を求めすぎる、という罠についてです。

SNSを熱心に始められた企業さんから、このようなご相談をいただいたことがあります。
「おがしんさん、言われた通りに現場の写真を撮って、社員の笑顔も載せて、3ヶ月間一生懸命投稿してみたんだけど、全然求人の応募が来ないんだよ。やっぱりうちみたいな小さな会社がSNSをやっても意味がないのかな。」

このように、始めてすぐに結果が出ないことに焦り、数ヶ月で更新をやめてしまう、あるいは諦めてしまう会社さんが本当に後を絶ちません
その一刻も早くいい人材を採用したいという切実な気持ちは、僕も痛いほどよくわかります

しかし、この短期的な成果を求めすぎてしまうことこそが、SNS運用を失敗させてしまう非常に大きな原因になっているのです

なぜ、私たちは始めてすぐに成果を求めてしまうのでしょうか。
その理由と、これから持っておくべき大切な時間軸の考え方について、じっくりとお話ししていきたいと思います

広報と広告の違いを混同していませんか

多くの会社が、始めて数ヶ月で効果がないと判断して諦めてしまう最大の理由は、前回のコラムでも詳しくお話しした、広報と広告の違いを分かっておらず、頭の中で混同してしまっていることにあります

少しおさらいをしてみましょう。

広告というのは、お金を払って新聞や雑誌、あるいはインターネット上の広告枠を購入し、瞬間的に多くの人に自社の情報を届ける一過性の飛び道具です
今ならキャンペーン中、スタッフ大募集、といったように、短期的な行動を促すためのものであり、即効性があります

お金をかければかけるほど、その瞬間は多くの人の視界に入ることができます

一方で、SNSを運用するなどの活動は、広告ではなく広報活動です
広報の本来の目的は、未来の社員となる学生さんや求職者、あるいは地域の方々というステークホルダーと、時間をかけてコツコツと良好な関係性を構築すること

もっと簡単に言えば、みなさんの会社を好きになってもらい、相思相愛の温かい関係、つまり、親友のような信頼関係を築いていくためのコミュニケーションなのです

ここを混同して、SNSという広報の道具を使いながら、頭の中では広告と同じような即効性を求めてしまうから、数ヶ月で応募がないと、意味がないと焦ってしまうわけですね
これは次に続くケース4の、SNSを広告媒体と同じような感覚で使ってしまうという罠とも、まったく同じパターンの勘違いなのです

人と人が仲良くなるまでに必要な、当たり前の時間

ここで、みなさんに少し想像してみてほしいのです

あなたが、街を歩いていて初めて見かけた人に対して、いきなり、うちの会社はすごく良い環境だから、明日から一緒に働きませんか、と声をかけたとします
言われた相手は、一体どんな反応をするでしょうか。おそらく、えっ、この人いきなり何を言っているんだろう、と怖くなってその場から逃げ出してしまうはずです

あるいは、知り合ってまだ1週間やそこらの、中身もよくわからない人から、一生を左右するような大きな決断を迫られたら、どう思うでしょうか?
絶対に、そんな簡単に決めるわけにはいかない、と警戒してしまいますよね

採用というのは、求職者にとって自分の人生や未来を預ける、ものすごく大きな決断の場です
特に今の若い世代は、スマホを使いこなして信じられないほど慎重に情報を集めています。

そんな彼らが、あなたの会社のSNSを最初に見つけたとき、まずは、へえ、こんな会社があるんだな、という認知の段階からスタートします
そこから、なんとなく雰囲気が良さそうだな、とアカウントを観察し始め、毎週流れてくる投稿を見ながら、本当にいつもみんな楽しそうに働いているな、嘘偽りのないリアルな空気感だな、と少しずつ安心感を抱くようになります

さらに過去の投稿を遡り、社長の熱い想いや、先輩社員のインタビュー記事をホームページで読み込み、何ヶ月もの時間をかけて、ここなら自分も安心して飛び込めるかもしれない、ここで働いたら成長できそうだな、という確信へと変わっていくのです

このように、人と人が出会い、信頼関係を築き、相思相愛になって採用に応募するというプロセスには、どうしても絶対に省くことのできない、当たり前の時間がかかるものなのです
1ヶ月や2ヶ月で成果が出ないのは、あなたの発信が間違っているからではありません

関係性を構築している途中の、ごく自然なステップを踏んでいるだけなのです

焦りが生む、最大の悪循環

短期的な成果を求めすぎて焦ってしまうと、実は発信内容そのものがどんどん歪んでいってしまいます。
早く応募してもらいたい、という焦りの色が強くなると、タイムラインからそれまであった温かい人間味や日常の空気感が消え失せ、今すぐ応募、施工管理大募集、といった売り込みや、自社の強みを一方的に押し付けるような広告的な発信ばかりになってしまいます。
人間関係でも同じですよね 。仲良くなりたいと言いながら、自分の自慢話ばかりをしてきたり、早く自分と付き合ってくれと毎日のように迫ってきたりする人がいたら、誰だって嫌気がさして離れていってしまいます。
スマートフォンの画面の向こうにいるのは、機械ではなく、感情を持った生身の人間です。
焦って無理に引っ張ろうとすればするほど、相手の心はサーッと冷めて離れていってしまうという、最大の悪循環に陥ってしまうのです。

広報は、未来の会社を支える最高の資産になる

では、私たちはこの短期的な成果を求めすぎる罠から抜け出し、どのようにSNSと向き合っていけばいいのでしょうか。

それは、広報活動をコストや目先の作業として捉えるのではなく、未来への投資として捉え直すことです。

みなさんが日々行っているトンネル工事の現場を思い出してみてください。
真っ暗な山を切り拓いていくとき、一晩で一気に何キロメートルも掘り進めるような魔法はありませんよね。
設計図を基に、工程表に従って、毎日毎日、数メートルずつ、安全を確かめながら地道に、確実に掘り進めていくはずです。
その地道な積み重ねの先にしか、山を貫くトンネルは完成しません。
採用広報も、これとまったく同じなんです。
今日投稿した現場の写真一枚、社長が語った不器用な一言、それ自体がすぐに明日、一人の応募者を連れてくるわけではないかもしれません。
しかし、その等身大で温かい発信の一つひとつが、未来の仲間へと続く道を一歩ずつ、確実に掘り進めているのです。
時間をかけてコツコツと積み上げて築いた信頼関係というのは、お金を払って出した求人広告とは違い、簡単に崩れることはありません。
あなたの会社を心から大好きになってくれたファンは、何百万もの広告費をはるかに凌駕する、強烈な引き寄せる力を持って、数年後に会社を支えてくれる最高の仲間となってあなたの元へ集まってきてくれます。
だからこそ、目先の数字や反応に一喜一憂しないでください。
まずは、目の前の発信を、自分たち自身が楽しんで続けること。
会社の素晴らしい価値を、未来の仲間に届けるための招待状を、今日も一枚、優しくポストに入れるような気持ちで、地道にコツコツと積み重ねていきましょう。
その地道な歩みが未来を切り拓き、結風を運んできてくれるはずです。

それでは本日も、ご安全&ご機嫌に参りましょう♪

記事を書いた人

株式会社ドボクのミカタ 代表取締役 小川慎太郎
防災士/公益社団法人土木学会Web情報誌fromDOBOKU副編集長/一般社団法人行政エンジニア支援機構賛助会員

広告業界にて25年間、マーケティングや販売促進の企画業務に従事。とある土木イベントにアドバイザーとして参画したことがきっかけで、熱烈な土木ファンになる。
土木業界に「広報」という言葉が浸透していない時代から「広報の重要性」を説き続けてきた、土木広報のパイオニア。
近年は、企業、団体向けの併走型コンサルティングサービスを中心に活動している。

公益社団法人土木学会・土木広報大賞2025最優秀賞を受賞

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