採用支援コラム

2026年9月24日

「風通しが良い会社です」だけでは、会社の雰囲気は伝わらない

こんにちは。広告業界出身の土木偏愛者、土木広報コンサルタントのおがしんです。

採用サイトや求人票で、よく見かける言葉があります。

「風通しが良い会社です」
「アットホームな職場です」
「社員同士の仲が良い会社です」

もちろん、本当にそう感じているのであれば、間違った表現ではありません。ただ、この言葉だけで、求職者は実際に働く姿を想像できるでしょうか。

特にトンネル工事は、一般の人にとって仕事内容を目にする機会が少ない業界です。どのような人が働き、現場でどのように声を掛け合い、若手社員がどのように仕事を覚えていくのか。会社側が思っている以上に、求職者には見えていません。

だからこそ、採用広報では「風通しが良い」と説明するだけではなく、そう感じられる具体的な場面まで伝える必要があります。

抽象的な言葉の奥には、具体的な出来事がある

ある会社で採用に関するヒアリングをしていたとき、「御社の特徴や社風は、どのようなものですか」と尋ねたことがあります。

返ってきたのは、「風通しが良い会社だと思います」という答えでした。

そこで、もう少し詳しく聞いてみました。

「風通しが良いと感じた、具体的な出来事はありますか?」

すると、毎週行われていた定例会議の話が出てきました。

その会社では、定例会議に毎回1時間ほどかかっていました。それに対して、ある若手社員が「会議を30分に短縮できないでしょうか」と提案したそうです。

単に「会議が長い」と不満を伝えたのではありません。報告事項は事前に社内チャットで共有し、参加者が内容を把握してから集まる。会議では報告ではなく議論に時間を使えば、30分に短縮できるのではないか。そこまで具体的な進め方を考えたうえでの提案でした。

会社側はその提案を検討し、試験的に採用しました。

ここまで聞くと、「風通しが良い会社」という言葉の見え方が変わってきます。

若手社員が仕事の進め方について提案できる。そして会社側も、年齢や立場だけで判断せず、その内容を検討して試してみる。この一連の出来事そのものが、その会社の風通しの良さを表しています。

会社側が「風通しが良い」と自分たちで評価するよりも、実際に起きた場面を紹介する。そのほうが、求職者は会社の雰囲気を具体的に想像できます。

トンネル工事の現場にも、会社らしさが表れている

本当の意味での風通しの良さは、単に意見を言いやすいことだけではないと私は思います。

社員が意見を出しても、検討されたのか分からない。会社から何の反応もない。いつの間にか話そのものが消えている。そんなことが続けば、社員は次第に意見を言わなくなります。

意見を出せることに加えて、会社や上司が受け止め、検討し、何らかの反応を返す。そこまで含めて、風通しの良さと言えるのではないでしょうか。

トンネル工事の現場にも、会社らしさが表れる場面はたくさんあるはずです。

未経験で入社した社員に、先輩がどのように仕事を教えているのか。若手社員が作業方法について提案したとき、職長や上司がどのように向き合っているのか。困っている人がいたとき、周囲の社員はどんな声を掛けるのか。

安全を守るため、先輩が若手社員に厳しく伝えることもあるでしょう。大切なのは、その厳しさだけを切り取るのではなく、なぜそのように伝えたのか、その後にどのようなフォローがあったのかまで聞くことです。

そこには、求人票の条件だけでは見えない人間関係や、社員を育てようとする会社の姿勢が表れます。

会社の魅力は「言葉」ではなく「場面」で伝える

社員へのインタビューで「人間関係が良い」「先輩に相談しやすい」といった答えが出てきたら、そこで終わらせず、もう一歩だけ掘り下げてみてください。

私なら、次の3つを聞きます。

1.そう感じたのは、どのような場面でしたか?

2.そのとき、相手は何をしてくれましたか?

3.その出来事を、あなた自身はどう感じましたか?

会社の魅力がないのではありません。普段の仕事の中で当たり前になりすぎて、まだ言葉になっていないだけかもしれません。

新人が作業に戸惑っていたとき、先輩が手を止めて教えてくれた。若手の提案を、現場の責任者がその場で否定せず、みんなで検討してくれた。失敗した社員を責めるだけではなく、同じことを繰り返さない方法を一緒に考えた。

こうした小さな出来事は、そのままにしておくと忘れられてしまいます。会社らしさが表れていると感じたら、短いメモでも構わないので残しておく。その積み重ねが、採用サイトや社員紹介、SNSなどで使える、その会社にしかない発信材料になります。

「風通しが良い会社です」を、無理に気の利いた言葉へ変える必要はありません。

必要なのは、その言葉が生まれた場面まで戻ることです。

まずは社員の一人に、こう聞いてみてはいかがでしょうか。

「この会社の良さが表れていたのは、どんな場面でしたか?」

その答えの中に、求職者へ伝えるべき会社の魅力が隠れているかもしれません。

 

それでは本日も、ご安全&ご機嫌に参りましょう♪

記事を書いた人

株式会社ドボクのミカタ 代表取締役 小川慎太郎
防災士/公益社団法人土木学会Web情報誌fromDOBOKU副編集長/一般社団法人行政エンジニア支援機構賛助会員

広告業界にて25年間、マーケティングや販売促進の企画業務に従事。とある土木イベントにアドバイザーとして参画したことがきっかけで、熱烈な土木ファンになる。
土木業界に「広報」という言葉が浸透していない時代から「広報の重要性」を説き続けてきた、土木広報のパイオニア。
近年は、企業、団体向けの併走型コンサルティングサービスを中心に活動している。

公益社団法人土木学会・土木広報大賞2025最優秀賞を受賞

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