採用支援コラム

2026年10月8日

トンネル工事会社も、自社のブランドを磨こう【後編】

前編では、ブランドは大企業や高級商品だけのものではなく、会社の周囲にいる人たちの中に蓄積される印象や信用、信頼に近いものだとお伝えしました。

では、そのブランドは、どのように育てていけばよいのでしょうか。

こんにちは。広告業界出身の土木偏愛者、おがしんです。

後編では、ある地域建設会社の事例を交えながら、自社のブランドを磨く第一歩を考えます。

「就職するなら、あの会社」と思われる理由

私が親しくさせてもらっている地域建設会社に、地域からの認知度と信頼度がとても高い会社があります。

地元の工業高校生から「就職するなら、あの会社に行きたい」と思われる存在になっていて、採用も比較的順調に進んでいます。

全国的に名前を知られている大企業ではありません。しかし、地元の高校生という届けたい相手の中では、強いブランドを持っている会社だと思います。

もちろん、採用を左右する理由は一つではありません。働く条件なども関わります。ただ、就職先として思い浮かべてもらえることは、採用が進む土台の一つになっていると感じます。

この会社は、ブランドをつくるために小手先の施策を行ってきたわけではありません。

「チームワークを大切にする会社でありたい」。そして、その力で「地域の安全で安心な暮らしを守りたい」。そうした思いが整理されていました。

その姿勢は、社員みんなで積極的に取り組む地域清掃や、部署を越えた社内研修などにも表れています。一見すると別々の活動ですが、会社のありたい姿から見ると、つながっています。

社長の考え方や人柄、社員の雰囲気、地域との関わり。その姿を広報によって伝え続けてきた結果、周囲の人たちの中にブランドが育っていったのだと思います。

「共感」が積み重なり、「信用」「信頼」になる

私は、ブランドが育つ過程を「共感→信用→信頼」という流れで捉えています。これは唯一の正解ということではなく、広報の現場に関わる中で感じていることです。

最初は、会社の考え方や行動に触れて、「確かにそうだよな」「それは素敵だな」と感じる共感です。

この段階では、取引や応募にはつながっていないかもしれません。それでも、「いい会社だな」という小さな気持ちが生まれています。

それが何度も積み重なり、周囲からも同じような評価が聞こえてくると、「やっぱり、そういう会社なんだ」という信用へ変わっていきます。

自社の発信だけでなく、取引先の評価や、そこで働いている人の言葉も、認識を確かなものにしてくれます。

ここでは、情報の総量も必要です。ただし、同じ宣伝を繰り返せばよいという意味ではありません。会社の考え方、社員の行動、日々の仕事、第三者の評価などが、一貫した姿として複数の角度から伝わっていくことです。

そして、「あの会社なら任せられる」「あの会社で働いてみたい」と、相手の判断や行動を支える信頼へ育っていく。

先ほどの建設会社に対する高校生の評価も、そうした積み重ねの一つの結果だと感じます。

これは、トンネル専門工事会社でも同じではないでしょうか。

「安全を大切にする」「若手を育てる」といった考えを、実際の行動とともに伝える。例えば、ベテランが若手に作業の手順だけでなく、判断する理由まで教える場面には、人材育成への姿勢が表れます。

「うちは人を大切にしています」という言葉だけよりも、具体的な場面の方が、求職者には会社の姿を想像しやすいはずです。

まずは、会社の意思を自分たちの言葉にする

ブランディングと聞くと、ロゴや会社案内、Webサイトを新しくすることから考えたくなるかもしれません。

見せ方を整えることも必要ですが、その前に整理したいのは「自分たちは、どのような会社でありたいのか」です。

トンネル工事を通じて、社会に何ができるのか。元請会社や協力会社にとって、どのような存在でありたいのか。社員や、これから入社する人に、どのような仕事と成長の機会を提供したいのか。

その意思が整理されていれば、日々の判断や行動、発信する内容に一本の軸が生まれます。

最初から立派な理念や、格好いいキャッチコピーにまとめる必要はありません。まずは経営者が自分の言葉で考え、社員と話してみる。

「うちの会社は、何を大切にしているんだろう」

「その思いは、今の仕事の進め方や社員への接し方に表れているだろうか」

そんな小さな作戦会議から始めればいいのだと思います。

ブランドは、一度の広告や短期間のキャンペーンで完成するものではありません。会社の意思に沿った行動と発信を重ねることで、共感が生まれ、信用になり、信頼へ育っていきます。

その信頼があれば、仕事の相談先や就職先を考えるときに、最初の選択肢に入りやすくなる。必ず選ばれる保証ではありませんが、相手に納得感や安心感を持ってもらう助けになります。

会社の規模を理由に、ブランドを遠い話にしてしまうのはもったいないと思います。

自分たちは、誰から、どのような会社だと思われたいのか。そのために、今の行動と発信で何ができるのか。

まずは、そこから自社のブランドを磨いてみませんか。

 

それでは本日も、ご安全&ご機嫌に参りましょう♪

記事を書いた人

株式会社ドボクのミカタ 代表取締役 小川慎太郎
防災士/公益社団法人土木学会Web情報誌fromDOBOKU副編集長/一般社団法人行政エンジニア支援機構賛助会員

広告業界にて25年間、マーケティングや販売促進の企画業務に従事。とある土木イベントにアドバイザーとして参画したことがきっかけで、熱烈な土木ファンになる。
土木業界に「広報」という言葉が浸透していない時代から「広報の重要性」を説き続けてきた、土木広報のパイオニア。
近年は、企業、団体向けの併走型コンサルティングサービスを中心に活動している。

公益社団法人土木学会・土木広報大賞2025最優秀賞を受賞

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