2026年7月1日
【SNS運用で陥る5つの罠】- part5 - 人は人としか仲良くなれない

みなさん、こんにちは。広告業界出身の土木偏愛者、おがしんです。
いつも採用支援コラムを読んでくださり、本当にありがとうございます。
採用目的のSNS運用で陥りがちな5つの失敗ケースを深掘りする連載シリーズも、いよいよ今回で最終回、第5回目を迎えました。
これまで外注丸投げ、売り込みネタ、短期的な成果、広告感覚といったテーマでじっくりとお話ししてきました。
さて、連載の最後を締めくくる今回のテーマは、ケース5:社長や社員など人が出てこない、という非常に根深い罠についてです。
実は、自分たちの手で一生懸命に、しかも売り込みばかりにならないように気をつけながら更新している会社さんでも、最後に行き詰まってしまうのがこれです。
投稿されている写真はどれも素晴らしくかっこいいのに、なぜか若者からの反応が薄い、フォロワーが増えないとお悩みの場合、この人が見えない状態になってしまっていることがほとんどです。
デジタルなSNSの画面だからこそ、なぜ人間味が必要不可欠なのか。求職者が本当に見たいものと、明日から実践できる主役の引き立て方について、心を込めてお話ししていきたいと思います。
主役不在のタイムラインになっていないか?
SNSを一生懸命更新している建設会社さんのアカウントを拝見すると、とても綺麗で迫力のある写真がたくさん並んでいることがよくあります。
青空に映える巨大なクレーン車、最新の油圧ショベル、ピカピカに磨かれたダンプカー、あるいは見事に完成した立派な構造物の写真。
土木が大好きな僕からすれば、それらの写真を見ているだけでもワクワクしますし、ものすごくかっこいいなと感動してしまいます。
しかし、求職者である学生さんや若者たちの視点に立ってみると、ここには非常に大きな落とし穴があるのです。
それは、重機や建物の写真はたくさんあっても、そこで実際に働いている人間の顔や表情、つまり人が一切見えてこないという点です。
なぜこのようなアカウントになってしまうのかというと、多くの経営者さんや担当者の方が、自分たちの顔をインターネットに出すのは恥ずかしい、自分たちの泥臭い姿よりも最新の設備や完成した現場の方が見栄えが良いだろう、と思い込んでしまっているからなんです。
でも、ちょっと考えてみてほしいのです。あなたがもし新しい職場を探しているとしたら、機械のスペックや建物の写真だけを見て、この会社に飛び込もうと決断できるでしょうか。
どんなに素晴らしい重機があっても、それを動かしている人がどんな人なのか分からなければ、怖くて一歩を踏みえられませんよね
主役である人間が写っていないタイムラインは、どれだけかっこよくても、どこか無機質で冷たい印象を与えてしまうのです。
フォロワーが反応するのは加工されていないリアルな空気感
今の若い世代は、大人が思っている以上にスマートフォンを使った情報収集に慣れています。
何が本物の情報で、何が作られて飾られた広告なのかを見抜く、ものすごく鋭い感覚を持っているんです。
彼らが求人票や企業のホームページだけでなく、わざわざ皆さんの会社のSNSを見に来る理由。それは、綺麗に整えられた文字情報ではなく、加工されていない会社のリアルな空気感や、そこで働く人の生の声を探しているからに他なりません。
若者たちの間で今、本当に反応が良くて親近感を持たれているアカウントというのは、決して画質が完璧でデザインが洗練されたものではないのです。
現場のちょっとした休憩時間に、泥にまみれた作業服姿の先輩たちが、白い歯を見せて笑い合っている姿。
不器用ながらも、社長がスマートフォンのカメラに向かって、自社の技術や仲間への想いを一生ケンメイに語っている動画。
そんな、画面の向こうから現場の温かい笑い声や息遣いが聞こえてくるような、泥臭くて等身大の表情なんです。
そのリアルな空気感に触れたとき、若者たちは初めて、あ、この会社なんだか楽しそうだな、この温かい人たちと一緒に働いたら自分も成長できそうだなと、未来の自分がそこで働く姿を具体的にイメージできるようになります。
デジタルなツールを使っていますが、結局のところ人の心を動かし、反応してもらえるのは、人間味溢れる部分だけなのです。
人は会社や情報と仲良くなることはありません。人は「人」としか仲良くなれないのです。
あなたの大切な仲間こそが最大のブランド・資産
ここで、もう一度原点に戻ってみましょう。
あなたの会社の魅力や現場の凄みを、一番体現しているのは誰でしょうか?
それは、最先端の重機でも、完成したコンクリートの壁でもありません。
日々現場を支え、安全を守り、誇りを持ってその仕事を繋いでいる、社員の皆さん自身のはずです
会社に対する愛着も、現場への熱量も、すべて皆さんの中にしか存在しません
その一番大切な熱源である人間を画面から隠してしまったら、どんなに高いお金を払っても、誰の心も動かすことはできないと思うのです
不器用でも構いません。少し文章が固くても、写真の構図が上手でなくてもいいんです。
皆さんの心から溢れ出る笑顔や、真剣な眼差し、仲間を思いやる姿にこそ、何百万もの広告費をはるかに凌駕する、強烈な引き寄せる力が宿るのです
今働いている社員さんたちがイキイキと働いていて、会社を誇りに思っている姿こそが、外から見たときに最大の魅力であり、あなただけの唯一無二のブランドになります。
その素晴らしい価値を、会社の引き出しの中に眠らせたままにしないでください。
さあ、まずは社長がカメラの前に立ってみましょう
ここまで5回にわたって、採用SNSで陥りがちな失敗ケースをお話ししてきました。
外注に丸投げせず
では、この人が出てこない罠を打ち破り、温かいアカウントに変えていくために、一番効果的で強力な方法は何でしょうか。
それは、社長が自ら率先してカメラの前に立ち、自分の言葉でやってみることです。
会社のトップである社長が、自分の言葉で、日々の現場への想いや社員への感謝を楽しそうに語っている姿ほど、求職者の学生さんの心を揺さぶるものはありません。
そして、社長が自ら楽しんで率先して取り組んでいる姿勢を見せることで、周りの社員さんたちも照れくさがりながらも自然と巻き込まれ、社内全体の空気が前向きに変わっていきます。
設計図と工程表があるからこそ良い現場ができるのと同じように、採用広報にも日々の等身大な積み重ねという全体設計が必要です。
完璧なものを作る必要はありません。まずは確実にできる範囲から、地道にコツコツとやっていくことが何よりも重要です。
今週は現場の笑顔を一枚、来週は社長の一言動画を一本、そんな温かい積み重ねの先に、数年後の会社を支えてくれる最高の仲間との出会いが必ず待っています
自社の磨けば光る素晴らしい人間味という価値を、ぜひ皆さんのその手で、未来の仲間に向けて優しく届けていきましょう。
5回にわたる連載をお読みいただき、本当にありがとうございました!皆さんの現場に、素敵な仲間が集まることを心から願っています。
それでは本日も、ご安全&ご機嫌に参りましょう♪
記事を書いた人

株式会社ドボクのミカタ 代表取締役 小川慎太郎
防災士/公益社団法人土木学会Web情報誌fromDOBOKU副編集長/一般社団法人行政エンジニア支援機構賛助会員
広告業界にて25年間、マーケティングや販売促進の企画業務に従事。とある土木イベントにアドバイザーとして参画したことがきっかけで、熱烈な土木ファンになる。
土木業界に「広報」という言葉が浸透していない時代から「広報の重要性」を説き続けてきた、土木広報のパイオニア。
近年は、企業、団体向けの併走型コンサルティングサービスを中心に活動している。
公益社団法人土木学会・土木広報大賞2025最優秀賞を受賞
